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5カ年計画に書いたこと デザイン・ビジネスの 大きな変化 

会社員時代も入れて30年近くもこの仕事をしていると、今更ながら大きなビジネス全体としての変化に気づく。
今になって20年も前の変化に気づいても、時すでに遅しではあるが、よーく分析すれば少しずつ変化の過程が明らかになってきて、今後5年、10年先のことがぼんやりでも予測できないかと考えた。
そこで5カ年計画に書いたのは下記の通り。


●アナログからデジタルへの移行と同じような大きな変革

◆デジタル時代がアナログの時代よりも長く
一般的にアナログ時代といわれている作業フローとは、手描きと活版中心の前期と写植とトレスコによる紙焼き中心の後期に分類されるが、戦後グラフィックデザインというビジネスが社会で認知され、一般的になってからそれぞれ約20年足らずの期間であった。(戦前はまだまだグラフィックデザインがビジネスとして成熟していなかったため、作家性の強いものが多い。)
一般的にその後期といわれる写植とトレスコによる時代からデジタルに変わって、まだそれほどの時間が経っていないように思われがちであるが、デジタルに移行してから現在まで約22年が経過しており、それまでのアナログ後期の長さをすでに超えている。
その意味から、そろそろ大きな変革がまた起こっても不思議はないが、実際はその変革の質が違っているだけで、すでに何年も前から大きな変化が起こっていると考えるべきである。

◆「紙単独」から「紙とインターネット共存」へ
その大きな変革とは、紙中心のステージから、画面のステージへデザインの領域が広がったことであり、WEBデザイナーという職域が出現したことである。WEBが登場した当時は、雑誌や新聞などの印刷メディアが取って代わられるとまでいわれていたが、最近ではそういうヒステリックな意見も影を潜め、両方の職域が混在、共存する形が確立している。
「紙とインターネットが共存する時代」という形が、しばらくつづくと考えられる。

つづきはまた次回に。

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人を育てるということ 

人を育てるというのはどういうことだろう。
会社やスポーツの世界、技術職などで人材育成の難しさを指摘していることをよく見かける。
様々な教育機関が行うセミナーをはじめ、商工会議所や行政が主催する勉強会なども盛んだ。
確かに企業にとって人材育成というのは、ある意味死活問題なので無視するわけにはいかないのは理解できるが、なぜか私は昔から「人を育てる」という言葉があまり好きではない。

「人を育てる」とか「人材育成」という言葉は、「育てている」と自負している立場からの見方であって「育っていく」方の立場ではない。
「むかし、私は彼を育ててやった」とか「苦労したが、彼をようやく一人前に育てることができた」というようなことはよく耳にするが、逆に「私を育ててくれたのは○○さんです」とか「やっと一人前に育ててもらいました」というのはあまり聞かない。

確かに育った方は、育てたと思っている人から何かしら勉強になるようなことを参考にしたり、吸収はしたけれど、だからといって「育ててやった」という風には言われたくないだろう。

私自身もお世話になったり、勉強させていただいた諸先輩はたくさんいるが、育ててもらったという印象を持つ人はいない。

うちの事務所にも若いスタッフが何名かいるが、はたしてそのスタッフたちは私に育ててもらっていると思うのだろうか。

だいたい「育てる」というのはどういうことだろう。
ここはこうして、次はこうして、こういうときはこうして、と手取り足取り伝授することだろうか。
マニュアルを渡して勉強させ、たまには試験なんかを実施することで進化させようとすることだろうか。

もちろんそれも方法の一つだと思うし、否定するわけではないが、
私が考える「人材育成」というのは
「人が育つ環境を整えてやること」ではないかと思っている。

ああしろ、こうしろと言ったところで、できないものはできないし、やらないやつはやらない。
それよりもやりたいと思ったやつがぐんぐん伸びていく条件を整え、環境を作ってやることで、そいつを活性化させてやることが大事なのではないかと思う。

せっかくそういう環境を作っても、やらないやつは何を言っても無駄だし、やろうとするやつは何も言わなくても自分からどんどんやっていくはずだ。

たとえば、うちのようにデザイン事務所の場合、コンピューター関連のハードやソフトの環境を整えたり、資料となるサンプルや書籍を豊富にそろえたり、限度を超えた残業をなくしたり、女性の場合は結婚や出産後の仕事人としてのビジョンを描けるようにしてやったりするのはもちろんのこと、同じ社内に尊敬できる先輩がいたり、思いを共有できるクライアントがあったり、やってみたいと思える仕事を集めることも大事だ。

そして何よりも何よりも重要なことは、「うちの社長は誰よりもがんばって仕事をしているし、仕事もすごいな〜〜」とスタッフたちに思わせることだ。

つまり、それこそが最も私が理想とする「人材育成方法」ではないかと思うようになった。

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5カ年計画に書いたこと ー勝ち組と負け組の発生ー  

次に書いたのはデザイン業界における勝ち組と負け組についてだ。
私はどんなに景気が悪いときでも、その業界自体が衰退していなければ、必ず業界内に勝ち組がいると思っている。
景気が悪いときは少数の勝ち組と大多数の負け組、反対に好景気の時は多数の勝ち組と少数の負け組、そんな風な構図ではないかと勝手に思っている。
さらに、世の中、おおざっぱに見れば「得した奴」がいる以上は必ず同じだけ「損した奴」がいるはずなので、「不景気だ、不景気だ」という「損した奴」がたくさんいればいるほど、どっかに得した奴がいるはずなのだ。
と、これまた勝手に思っている。

そういう想いを込めて書いたのは次の通り。

●二極化する業界の構図
◆スキルの二極化
もともと学習意欲の少ない人材が多いデザイン界において、その中でも意欲の高い人材と、逆に低い人材とのスキルが経験年数を積めば積むほど広がる傾向にある。また、在籍する事業所の方針によってもスキルの蓄積に差が出るため、さらにその状況に拍車がかかる。
◆収入の二極化
事業所の業績やデザイナー個人のスキルが二極化すれば、当然その収入も二極化する。しかも、生涯賃金での比較になればさらにその差が拡大する。いわゆる独立組と社員組での差が着目されがちであるが、独立組同志の中でも差が拡大しており、社員組より二極化が激しい。
◆受注内容の二極化
受注のために価格を下げたり、報酬無しのデザインコンペに参加することが多い事業所では、どんどん受注内容が低レベル化する傾向が強い。逆に、「そこでしかできない」という強みを持っている事業所はどんどん専門性の高い仕事が集まり、受注内容でも二極化が強まる。
◆デザイン事業所のレベルの二極化
受注内容が二極化し、その傾向がさらに強まると、デザイン性が低く料金優先の仕事(DTP中心で数をこなす)が集まる事業所と、デザイン性が高く料金も維持できている(独創性があり、自社のコンテンツをしっかり持っている)事務所が差別化される。
◆東京と地方の地域格差による二極化
従来型のメディア(電波や出版、広告など)では東京に一極集中が強まり、デザイナーの知名度は明らかに東京の方が高い。大手企業の広告物などは東京からの流用が普通なので、地方発信のコンテンツが全国に広がることが少ない。
今後のネット社会では地方発信のコンテンツが注目される可能性があるが、それに対する方法論を事業所として模索しているところは少ない。

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5カ年計画に書いたこと ーデザインビジネスの低迷ー  

まず最初に現状のデザインビジネスについてスタッフに私の考えを共有してもらうことからだと考えた。
そして現在のデザインビジネスの低迷ぶりから説明した。

●年々悪化する雇用環境
◆企業業績の悪化によるデザイナーのリストラ
 企業において不況時のリストラでは、まず高齢者や企画部署が対象となる。
◆正規雇用から契約や嘱託による採用の増加
 人件費を抑制するために正社員ではなく、契約や嘱託による採用が求人のほとんどを締めている。
 大企業ではさらにその傾向が強い。
 そのため、社内のノウハウが蓄積されず、社内デザイナーの低レベル化が進む。
◆デザイン料金低下の背景
 広告費や印刷コストが低下すれば、当然その生産過程にあるデザインにおいても料金の低下は免れない。
 さらに、コンペや相見積もりによりその状況に拍車がかかる。
◆デザイナーの寿命短縮
 雇用条件の悪化や慢性的劣悪な作業環境のなか、就職後2年から3年で離職するケースが増加している。
 また、企業内においてのリストラや配置換えによりデザイナーとして就業できる期間が短くなっている。
 結果、40代以上のデザイナーが極端に少なくなり、スキルの豊富なデザイナーが不足しているため、
 新しい人材の育成ができていない。

つまり、簡単に言うと不況によるリストラや契約などの雇用形態は、弊害として社内のノウハウ蓄積を妨げ、スキルの豊富な人材を失い、新しい人材を育てることができなくなる。そしてそれが、デザイン料金低下とともにデザインビジネス全体の低レベル化につながることを忘れてはいけない。
と、いうことを伝えた。

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