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絵付け 

絵付け

観光地でよく見かける絵付け体験。素焼きの皿や器に絵の具で絵や柄を自分で自由に描き、それを焼いてくれるというサービスだ。昔は「楽焼き」と書かれた看板をよく見かけたが、最近ではだいたい「絵付け体験」などと書かれていることが多い。

九谷焼など特別な産地ではそこの焼き方で仕上げてくれる場合もあるが、ほとんどの場合昔の楽焼きとそんなに変わらない気がする。

陶芸ブームもあってか、絵付けの横ではろくろ体験や手びねりによる作陶も一緒に行われている場合が多いが、私はいつも絵付けを選ぶ。
何のことはない、仕事で絵を描いているのだから絵付けの方が得意に決まっているし、そこの店員さんや他の参加者が私の絵を見て感心してくれるのを気持ちよく思わないわけがない。

今年の慰安旅行は、三重県のメナード青山リゾートという高原の保養地に行ったのだが、そこにも陶芸体験の施設があり、うちのスタッフはろくろをやってみたいというので、私は例によって絵付けを選んだ。

行く前から、今回の作品は大小の2枚セットの皿と決めていた。だいたいこういうところでは目安となる制限時間が設定されているが、もともと描くのが早い私は2枚でも十分時間内に描き上げる自信があった。

ただ、どんなデザインにするかというのは寸前まで考えないことにしている。
普段の仕事でもそうだが、私はあんまり長い時間プランを練るのが嫌いだ。
パッと決めてパッと描く。
デザインでもそれは同じで、パッと決めて、パッとやる。
それが美しい。
と、思っている。

そうこうしている間に準備が整ったようだ。

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大小の皿が各1枚と筆、筆洗、絵の具に図案集。手前の穴の空いた皿はパレットだ。
もちろん私は図案集など無用なので、まずは下描きから。

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普段の仕事でもそうだけれど、私は下描きをあまり細かくしない。そこでもパッと下描きをしてパッと本描きに入る。下描きを丁寧に描く人もいるが、同じことを2度描かないといけない気がして私は嫌いだ。
だから今回の下描きは線が2本だけだ。水平と垂直がわかればそれでいい。
その線を頼りにまずはとにかく描きだした。この時点で何となくデザインが決まりかけている。

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ここの筆はなかなか描きやすい。
こういうところの筆は手入れができていないのと大勢の人がむちゃくちゃな使い方をするので、だいたいろくな筆がないのが普通だが、ここのは意外と良い。
一瞬、ここでやめてもいいかな・・・・と、思ったが、いくらシンプルでいいとはいえ、この状態で店員に渡しても「おお!」と感心はされないので思いとどまった。

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大小の2枚に統一感を出すために2枚一緒に描き進める。
この時点で再度ここでやめるべきか・・・と悩んだが、まだ何となく物足りない。もともと完成形がアタマにないわけで、どこでやめても自分的にはいっこうにかまわない。

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ここまで描き進めると何となく完成形が見えてくる。筆の置き所も何となく近づいている気がするので、思い切ってグリーンを差してみた。焼き上がりの色がどうなるのか若干心配であるが、ここは思い切って冒険だ。

ん・・・・・、なかなかよい。最後にフチを塗ることでしまりが出てきた。
この状態で店員に託す。
約2ヶ月後には焼き上がるらしい・・・・。

と、いうわけで最初の完成写真に戻る。

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釉薬がなかなかいい艶を出してくれた。
2枚で約3500円。1時間半楽しんで皿の完成品2枚がついてこの値段は安い。

さて何を盛ろうか・・・。

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デザイナーとしてのブランドをつくる 

KDFactory's

「KDFactory's」という商標を取った。
いままでクライアントのブランド取得やそのブランディングには仕事としてかかわってきたが、私自身が、うちの事務所のブランドとして商標を登録したのは初めてだ。

では、ブランドを取って何をするのか?

通常ブランドというのはある商品があって、その商品の価値を確立したり、他の商品から邪魔をされないために法的にも対外的にも値打ちを持たせることが目的だ。

ではデザイン事務所でブランドを持って何をブランド化するのか。
デザイン事務所というものは大方の場合いわゆる受注生産、オーダーメードが原則だ。
クライアントから「こういう感じで」「こういう人に向けて」「このくらいの価格帯で」などの注文があって、初めてビジネスが始まるのが普通だ。
そこにはクライアントの持つブランドは存在するが、デザイン事務所の仕事はそのクライアントが持つブランドにいかに値打ちをつけるかが仕事であるだけで、自分たちの仕事自体にブランド力をつけるということはない。

しかし、クライアントのブランド力を高めるためには、かなり高度な知識とテクニックと労力が必要で、それを請け負ったデザイナー側のスキルに大きく左右される。
ところがたとえそのブランディングという作業が成功しても、ギャラが入るだけでその仕事自体に対外的な評価は小さい。デザイナーとしての実績にはなるが、実績というものは過去の実証であって、今この瞬間の仕事の価値を保証したり、説得力を高めるものではない。

「今この仕事の価値を高める」
これは簡単なことではない。現実にデザイン事務所というビジネスは大半が負のスパイラルに巻き込まれ、価格競争やサービス過剰という問題に悩まされている。
ただ、デザインする側もいけないのは、それを社会情勢や業界の潮流のセイばかりにして、自分たちでそこから抜け出そうという努力をしているとはいえない。
このような状況に巻き込まれず、自分たちの仕事にしっかりと自信を持ち、それを対外的に納得させる、そういうことが必要なはずだ。

というようなことを悶々と何年も考え続けていた私の一つの方法論が「ブランド力を持つ」ということだ。
自分たちのデザインに「ブランド力」を持つ。
おこがましいという意見もあえて頂戴しよう。
もちろんこんなことで全てが解決するはずもない。
ただ、Koizumi Design Factoryという事務所がさらに前へ進むために一つの試みとしては悪くないと思っている。

さて、どんな展開が待っているか、私自身がいちばんわくわくしているのが、かなり心地よい。

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