決算間近
今月末、私自身の53才の誕生日と同時にコイズミデザインファクトリーの第25期決算を迎える。
いつもこの時期になると数字との格闘が始まるが、今期は展示会や引越というビッグイベントなど先行投資に明け暮れた1年だった。
開業して29年、法人化して25年が経った今、なぜこんなにお金を使ってまで前へ出ようとしたか。
そのあたりのことはまた別の機会に書くとして、どうあがいてもあと数日で決算を迎え、53才になる。
まわりからは暴飲暴食の是正や休日の確保、定期的な健康診断の受診などもう少し大人な生活をするよう強く奨められているが、私自身いたって健康で暴飲暴食の自覚もないし、それなりに休日も取っている気がしている。
ただ、もう少しダイエットをしてどこのセレクトショップでもサイズを気にすることなく服を選べるようになるのは理想だが。
以前に比べるとゴルフをするようになって多少運動不足も緩和されてきたので、なんとかぎりぎり体型を保ってはいるが、それとて若いときに比べると、やはり見る影もなく嘆かわしい。
仕事中もすぐに集中力が切れてしまうし、仕事に対する持久力も格段に落ちてきた。
肩もこりやすいし、こった肩をほぐそうとマッサージチェアに座ったが最後、確実にいびきをかいてしまうこととなる。
つまり、もうわたしも「おっさん」だ。
世間から見れば何の疑いもなく「おっさん」なんだ。
息子も今度の誕生日で26才と23才になる。いつもインターンに来る学生たちは息子よりもまだ若い世代だ。今うちで最も若いスタッフはその長男と同い年で、さらに今年中にめどをつけたい新入社員などは確実にそれよりも若い世代となる。
年の差が大きくなるというのは考え方や趣味志向が異なるだけでなく、仕事のやりとりにも支障が出ることが多い。人数がもっと少なく、スタッフと私の年齢が近かったころはすべての仕事に私が指示を出し、チェックも行っていたが、今の人数、年齢差ではそれもなかなか叶わない。そんなことをしていたら私がやるべき仕事が何もできなくなるからだ。
そればかりではない。日々やるべき事務処理やインターネットでの販売戦略などやることが圧倒的に増えていて時間がいくらあっても足りない。
そういうことを悶々と考え続けてきたが、今回の事務所引越を契機に根本的な私の時間の使い方や仕事に向き合うスタンスを見直すべき時がとうとうやってきたように思う。
今までのように私ががんばっていれば何とかなるという段階は過ぎたんだ、このままではいつまで経ってもこのままなんだと思うようになった。
じゃあ、どうするのか・・・・。
コイズミデザインファクトリーの26期はそれが最も大きなテーマな気がしている。
そこを考えないと今までと同じスローテンポな進化でとどまってしまうんだ。
たまに行く講義などで若い世代にえらそうに行っている場合ではない。今この年になったからこそ再度自分の仕事について真剣に考え、実践していくことが必要だ。
停滞は退化の兆しであり、退化は消滅の序章なのだ。
デザイン会社としてこれから先どんなビジョンを持つか・・・・・・。
どこのデザイン会社でもいう「時代にあったクリエイティブを・・・・」とか「お客様のニーズに・・・・」などとありきたりで何の実行力もない考えでは衰退を待つしかない。
2年後、3年後、5年後を見定め、自分たちの能力を磨き、それをみんなが気づいていない方法で、また気づいていてもまねできないような方法で実践していかないといけない。
そのためにはまだまだ53のおっさんもがんばらないといけないのだ。
- [2016/06/22 00:25]
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古伊万里の魅力
古伊万里に興味を持ってかれこれ20年近くになる。
当時まだ30代前半だった私は、どちらかというと「骨董」という言葉にあまりよい印象を持っていなかった。
それは子どものころの思い出に起因している。
私の父は40才で他界したが、なぜか20代のころから盆栽や骨董、神社仏閣巡りというものに凝っていて、ことある毎に弘法さんや天神さんの骨董屋へ連れて行かれた。
それが子どもの私には嫌で嫌で仕方なかったのだ。
そんな私の元へ「暮らしの骨董入門」というムック本のデザインの仕事が舞い込んだ。
骨董というものにあまりよい印象がなかった私は、乗り気ではなかったが、せっかく声をかけていただいた仕事ということで、とにかくスタートした。
当時「なんでも鑑定団」という番組が人気を博しだしていたころで、鑑定士の一人中島誠之助がメディアに引っ張りだこであった。その本にも石坂浩二との対談などで登場していただいたが、中島氏の専門である古伊万里がちょっとしたブームとなっていた。
本の制作を進めるうちに、いつの間にかガラスや漆器よりも古伊万里に興味を持った私は、当時事務所があった北大路下鴨本通の骨董屋をのぞくようになり、ついに初骨董を手に入れることとなった。
それからというもの様々な骨董市や地方の観光都市に残る小さな骨董屋など頻繁に通うようになり、ついにはネットオークションにまで手を伸ばすことになっていた。
ネットオークションでは一度にたくさんの品物を見ることはできたが、やはりいいものはそれなりの値がつくので、結局は骨董屋で買うのと大差はないものとなってしまう。しかも、やはり画像ではすべてがわかりにくいので、届いてからがっかりというものもよくあった。
古伊万里の魅力はやはり使ってみないとなかなかわからない。
がんばって奮発したからといって棚に飾っておくだけではもったいない。蕎麦猪口やなます鉢は使い勝手もよいので、積極的に食卓に登場させたいし、すべて古伊万里で揃えられた食卓の美しさはいいようがない。汁物の碗とワインのグラス以外は何とも言えない深みのある呉須の色で統一してみて欲しい。刺身や煮物と古伊万里の柄がこれほどまでに調和するものかと驚くだろう。
現在、古伊万里の価格は小康状態だが、若者にも日本趣味が抵抗なく受け入れられる時代になった今、少しくらい上昇しても何の不思議もない。いくら何でもバブル期のようなことにはならないと思うが、もし入手を迷っている方がいるのなら、絶対に少しでも速い方がよいと思う。
なぜなら、貴方が見たその骨董には、新品の供給がないので、見つけた時には即買いしないと、もう二度と巡り会えない可能性が高いからだ。
幸い今は特別ブームでもないので、新品の上等な食器を買うくらいで立派な古伊万里が手に入る。200年以上前の器がそんなに手軽に買えるのだ。
貴方も是非1つ蕎麦猪口のようなポピュラーなものでもよいので入手して欲しい。
きっと1つでは済まなくなるだろうし、自宅の食器棚があふれるようになるだろうけれど、古伊万里の魅力にはまってしまうことはきっと避けられないはずだ。
- [2016/06/10 00:13]
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