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道具というもの 

筆

私の筆立てです。いったい何本の筆が入っているか数えたこともないのでまったくわかりません。
最近はほとんどがデジタルでの仕事となっていますので、筆を使うというのはめっきり減りました。
それでも私はできるだけ筆で絵や文字を書くようにしています。別にデジタルが嫌いなわけではなく、筆の良さとデジタルの良さの両方を使いこなせるのがいちばんつよいと思っているからです。
フォトショップやイラストレーターといったすばらしいソフトの出現で、今までは想像もできなかった作品がいとも簡単に作れてしまいますし、様々なテクニックを駆使してグレードの高い仕事をする若者も増えてきました。
私の場合は、コンピューターがデザインの世界に徐々に入ってきたため、そのペースに合わせてマスターしていくことができましたので、今でもそのアドバンテージがありますから、若い人たちとも対等に渡り合うことができます。
しかし、最近の若いデザイナーたちは最初からこんなに進化したデジタルの世界に飛び込んでいかなければならず、その迷路のような世界を彷徨うのがやっとという感じです。

肝心のデザインというものの本質に行き着くまでにあまりにもたくさんのハードルを越えなくてはなりませんから、本当に大変だろうなと思います。

話がそれましたが、この筆たちの中には、私が22年前に独立した当初からのつきあいのものもけっこう残っています。
筆というのは使い込めば自分の手になじんでどんどん使いやすくなっていきます。
ですから、長く使うことが大切なのです。

そしてそのためには、使ったあとの手入れを怠ってはいけません。
私は自分で使った筆を絶対に人に洗わすことはありません。必ず自分の手で丁寧に1本1本洗います。
そして次の機会に備えて筆先をきれいにそろえこのブリキの缶に戻します。

明日も筆文字の仕事が入っています。
ただ単に筆で文字を書くだけの仕事です。
デザイナーの私がなぜ?とおおもいかもしれませんが、けっこう私はこれが好きです。

この筆立ての中から次はどれを選んで使おうか・・・。

仕事でいやされるとはなんと幸せな人生でしょうか。

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