美大生よデッサンにはげみなさい
これはピカソの若き日のデッサンです。
この作品に限らずピカソのデッサンは数多く残っていますが、あのキュービスムに代表される彼の作風からはとうてい想像もできない繊細なものです。
あの極端な画風であるキュービスムの作品を書くために彼はこんな緻密なデッサンを若い頃から積み重ねているのです。
昨今、驚いたことに美大や美術系の専門学校などで、デッサン軽視の現象が起こっています。
美大といえば入試にはデッサンというのがもっとも一般的で理にかなった試験でした。
画力というのはすべての美術作品の礎となるからです。
洋画、日本画、彫刻はもちろんインテリアデザインやグラフィックデザイン、テキスタイル、プロダクトに至るまでデッサン力を必要としない分野はないと思っています。
ましてや最近流行のイラストレーションの課などは最たるものです。
なぜなら、絵画はもちろんデザインであっても最終的に自分の考えを不特定多数の人に理解してもらうためには、プレゼンテーション力の有無が大きな意味を持つからです。
そしてそのプレゼンテーション能力というのは画力なしには成り立たないのです。
いくら「自分の作品はこれが個性だ」といっても基礎画力の上に積み上げられたものでなければ、それはただの下手くその言い訳にしかなりません。
世の中にはたまたまメディアに乗っかって売れてしまった下手くそなイラストレーターやデザイナーがテレビなどで活躍したりしていますが、そういうものだと錯覚してはいけません。
特に今人気のイラストレーター志望の学生にその傾向がありますが、どう見ても誰かの絵のまねにしか見えないものや明らかに画力不足なものが卒業作品展などで数多く見受けられます。
ひどいのは、たまたまイラストを描きたかったけれどその課には受からなかったからといって、日本画や洋画でまるでアニメのようなイラストを描いている学生までいる始末です。
今私が人生の先輩として、デザイナーの先輩として学生たちに声を大にしていいたいのは
もっともっとデッサンをしなさい!
ということにつきるのです。
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