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25周年目突入前に回想 2-3 

クリスタープラザエム


そしてもう1つ大きな出来事は、デジタルの導入だった。
当時はどちらかというとデザイン界ではデジタルに関して消極的な考え方が大勢を占めていた。
「結局手でやる方が早い。」とか「いかにもデジタル的なデザインになってしまってどれも同じに見える」とか「文字組が汚い」「日本語のフォントがほとんどない」などといったことが主な理由だった。
しかも、価格も半端なものではなく、だいたい車1台と同じレベルであった。
それを焼却できるほど使い道がないと思われてもしかたがなかった。
その上、出力環境も整っておらず、画面の中でデザインしてもそれを相手に見せる手段がないといった今では信じられないようなレベルの低いものだった。

私はそれまでコンピューターというものを触ったこともなかったし、だいたい何ができるのかもまったくわからなかった。ただ、元来好奇心の強い性格が幸いしてかMACというものに興味を持った私は、隣の画材店にデモで置かれていた1台に大きな可能性と世間のデザイン事務所を出し抜いてやろうという企みを感じていた。

幸いうちの事務所では、当時からTシャツのプリントやデニムのフラッシャーなどの付属品、アパレルブランドのグラフィックなど日本語とは関係のない仕事が多くあったので、日本語の不自由さはあまり関係ないし、相手にデザインを見せるときは小さなシルクスクリーンを使ってカラーカンプを作るという方法をとっていたので、そのシルクの版下を作るには十分な精度の出力も可能だった。

いろいろと頭の中でのシミュレーションはほぼかたまっていたのだが、周りの意見は私の考えとまったく逆だったし、何よりまず資金が問題だった。
当時、開業してまだ5年にも満たない状態でコピー機と暗室のリースを抱えていたので、もうリースの枠はないも同然。手持ちの資金も長男が生まれて間無しであったので多少の余力は残しておきたかった。

こういうときの私の強運さは自分でも不思議なときがある。
なんと高校時代生徒会の役員をしていた仲間が事務所のすぐ近くの商工会議所に勤めており、中小企業向けの無担保融資があるという話を持ってきた。
そのときまっすぐな道が私の前に現れた気がした。
早速商工会議所の会員になり、審査を受け、無事に融資にこぎ着けた。

そのとき導入したMACは
本体 Machintosh II 本体120万円
メモリ フル装備でたったの8MB 1MBが5万円で40万円
ハードディスクは20MB しかも本体とは別売で20万円
モニター 13インチカラーモニタ26万円
ビデオカード 8万円
さらにアプリケーション
イラストレーター 9万円
レトラスタジオ 15万円
フォント 1書体15000円を20書体で30万円
締めて約270万円。

出力は隣の画材屋のレーザープリンターとQMSというインクリボンのカラープリンターにアップトークで直結し、うちの事務所から出力ができるようにした。

最初、操作に慣れるのにかなりの時間を要したが、幸い今のマックに比べマック自体のレベルが低かったので、マックに進化とともに自分のスキルも進化してゆけば良かった。
あとになってみれば、よそよりも先に導入した分のアドバンテージは絶大なものであったし、実際効果はてきめんであった。

当時マックを納入していたのはCanon系のディーラーであったが、そこの担当者がいうには、個人事務所では京都で最も早い導入であったし、実際に業務で使用しているのはうちだけだということだった。

実に爽快だった。京都のデザイン界をまんまと出し抜いた気がしていた。
おそらくこの出来事がうちの事務所の歴史の中で最も大きな決断であり、英断であった気がする。
周りのデザイン事務所や印刷会社にマックが入るまでにはそれからまだ3年以上を要したし、よそにはできないデザインテクニックやカンプの提出も事務所にとって大きな武器になった。

今では1台10万円程度で手に入るマックだが、コイズミデザインファクトリーにとっては大変大きな意味を持つ道具として、感謝せずにはいられない。

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