JR大阪三越伊勢丹はなぜ失敗したか
JR大阪三越伊勢丹はなぜ失敗したか。
新聞や様々なメディアの報道では、あの上品な伊勢丹式が大阪の市場に合わなかったのだという。
洗練されたフロアに上質な商品が整然と並び、バイヤーのセレクトによる旬のブランドやアイテムを提案する売場づくりが大阪に合わなかったということになっている。
確かに大阪の市場がもっとベタ(いや失礼、大衆的)で、てんこ盛りの商品から少しでも安いものを探す・・・・、というイメージが強いのかもしれないが、大阪の市場全体がそうだとは到底思えない。大阪駅という立地上、高級住宅地などから通勤する人も多いし、セレブな客層だって必ずいるはずだ。
なのにJR大阪三越伊勢丹は失敗した。
私はJR大阪三越伊勢丹失敗の最大の理由は人の流れを捕まえる立地になっていないということではないかと思っている。
梅田近辺の百貨店は大丸、阪急、阪神の3つに加え最後に伊勢丹が参入した。さらに周辺にはルクア、ヨドバシ、グランフロント大阪、茶屋町界隈、ブリーゼブリーゼ、ディアモールなどの地下街など商業施設がひしめいている。
これらの施設で勝ち組と負け組ができる大きな原因はやはり「人の流れ」だ。
JR大阪三越伊勢丹以外の百貨店を見てみると阪急や阪神、大丸にしても必ずいくつもの導入箇所と他の場所へ移動するための経路が多数確保されている。阪神は地下街の中で阪神電車や地下鉄御堂筋線、谷町線などの改札付近で利用客が最も通る通路に面して店舗や入り口が並んでいるし、阪急は阪急電車はもちろん地下鉄御堂筋線、谷町線とも連絡が容易だ。もちろんホワイティー梅田などの地下街ともちゃんと連携している。オマケに地上では御堂筋をまたいで歩道橋つたいに阪神、阪急が連絡している。大丸もディアモールや、阪神電車、地下鉄四つ橋線とも連絡が容易だ。しかもこの3つはすべて地下街によってすぐに行き来できるようになっている。
さらにJR大阪三越伊勢丹の真横にありながら勝ち組といわれるルクアはJR大阪駅と阪急梅田駅の連絡通路の役割も果たしているのでほおっておいても人の流れができる。
ところがJR大阪三越伊勢丹はというと入り口は実質的に1つ。コンコースに面した角に小さな入り口が1つあるのみだ。もちろん他にも入り口はあるが、バス停側に抜けるところと、エキマルシェ内にぬけるところしかない。つまり、人の流れがあるところでないのだ。他の3店とルクアは圧倒的な人の流れの前に立地しているのに対し、JR大阪三越伊勢丹はそれがほとんどないし、入り口も小さい。
さらに以前はこのJR大阪三越伊勢丹の場所に向い側のヨドバシへぬける横断歩道があった。この横断歩道はJRの利用客にとってヨドバシにぬける便利な経路であったが、JR大阪三越伊勢丹やルクアができるときにヨドバシへの人の流れを遮断するかのようにバスターミナルに飲み込まれてしまい、完全に人の流れが消えた。
大阪駅によく行く人はわかると思うがJR大阪三越伊勢丹の入り口付近にはまったく人の流れがない。JR大阪三越伊勢丹に入った人はまた同じ出入り口に戻ってくるしかないのだ。
これでは袋小路になっているだけで、人の流れの通過点にはまったくなっていない。
よく阪神の地下は人が多いというが、あの立地であれば地上階にあまり目新しさのない阪神でも地下には人の流れを受け止められる「立地」という大きな武器がある。
地下鉄の各駅や阪急電車とJRを乗り継ぐ人々の流れを最も受け止められる立地が今の阪神百貨店を支えていると言っても過言ではないと思っている。
この人の流れを受け止められない立地の不利こそが、JR大阪三越伊勢丹失敗の最大の原因だと私は思っている。マスコミや様々なメディアは大阪人気質でこの件を片付けてしまっているが、商業施設成功の大きな要因であるこの点に目がいっていないのではないだろうか。
このままでは、たとえ店内の売り場構成を変えても大きな変化は起きないし、失敗を繰り返すだけだ。
私にはそう思えてならない。
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