平成26年特定サービス産業実態調査におけるデザイン業の結果について
先日、昨年に引き続き平成27年特定サービス産業実態調査の依頼が経済産業省から送られてきました。内容に関しては昨年と変わりはありませんでしたが、同封されている昨年の結果が非常に興味深いものでしたので一部紹介します。
まずは2つの図表をご覧ください。
まずは上の表から。
1段目から3段目にご注目ください。事業所数が昨年に比べ16%、従業者数は11.7%、年間の売上高も7.1%減少しています。特定サービス産業全体にこの傾向が顕著ではあるものの事業所の数が16%も減少しているのは正直驚きです。
従業者数も1割以上減少しています。10人にひとりがデザインという仕事から離れていったということです。
デザインという仕事は離職率が高いといわれていますが、新卒の定着率ならまだしも、デザイナー全体で1割もの数が減少しているのは大きな問題です。
さらに売上でも7%以上の減少です。デザインという仕事は基本的に受注生産ですから売上高の減少は、すなわちデザイン料の減少です。ここでこの統計の不透明なところは、この減少が仕事の量自体が減って売上が下がったのか、それとも仕事の量は変わらないけれどデザイン料金の下落により全体として下がってしまったのか、どちらかがわかりません。
つまり単価が上がったか下がったかがわからないのです。
もう一つ気になるのは従業者数が11.7%も減っているのに、売上は7%しか減っていない点です。これは人数が減った分残ったスタッフに負荷がかかっているということでしょう。ひとりあたりの仕事が増えたということです。
ただでさえ厳しい労働条件を強いられているデザイナーが、さらに負荷をかけられていることになります。
次に下の表ですが、特定サービス業の中でもデザイナーは正規雇用の比率がかなり低くなっています。たったの52%。ほぼ半分が正社員ではないのです。
確かに私が知る限りではデザイナーはすべて契約社員という大手も何社かありますし、求人にでている内容もほとんどが契約です。それだけデザイナーという職種は企業の中で、契約で事足りると思われている職種だということです。業績が悪くなってくると一番に人員調整のターゲットになるのもデザイナーです。
ただ私個人は「デザイナーは本気で一生仕事を続けるつもりなら正社員にこだわる必要はない」と思っている(この理由はまた別の機会に)のですが、やはり世間的には契約やパートよりも正社員の方がいいに決まっていますので、やはりこの結果は厳しいといわざるを得ません。
いずれにしてもデザイナーにとって昨年はかなり厳しい年であったことは間違いありません。
オリンピックのエンブレム騒ぎ以降デザイナーの値打ちが急落していますので、今年もさらに厳しい状況にならなければいいのですが・・・・。
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