古伊万里の魅力
古伊万里に興味を持ってかれこれ20年近くになる。
当時まだ30代前半だった私は、どちらかというと「骨董」という言葉にあまりよい印象を持っていなかった。
それは子どものころの思い出に起因している。
私の父は40才で他界したが、なぜか20代のころから盆栽や骨董、神社仏閣巡りというものに凝っていて、ことある毎に弘法さんや天神さんの骨董屋へ連れて行かれた。
それが子どもの私には嫌で嫌で仕方なかったのだ。
そんな私の元へ「暮らしの骨董入門」というムック本のデザインの仕事が舞い込んだ。
骨董というものにあまりよい印象がなかった私は、乗り気ではなかったが、せっかく声をかけていただいた仕事ということで、とにかくスタートした。
当時「なんでも鑑定団」という番組が人気を博しだしていたころで、鑑定士の一人中島誠之助がメディアに引っ張りだこであった。その本にも石坂浩二との対談などで登場していただいたが、中島氏の専門である古伊万里がちょっとしたブームとなっていた。
本の制作を進めるうちに、いつの間にかガラスや漆器よりも古伊万里に興味を持った私は、当時事務所があった北大路下鴨本通の骨董屋をのぞくようになり、ついに初骨董を手に入れることとなった。
それからというもの様々な骨董市や地方の観光都市に残る小さな骨董屋など頻繁に通うようになり、ついにはネットオークションにまで手を伸ばすことになっていた。
ネットオークションでは一度にたくさんの品物を見ることはできたが、やはりいいものはそれなりの値がつくので、結局は骨董屋で買うのと大差はないものとなってしまう。しかも、やはり画像ではすべてがわかりにくいので、届いてからがっかりというものもよくあった。
古伊万里の魅力はやはり使ってみないとなかなかわからない。
がんばって奮発したからといって棚に飾っておくだけではもったいない。蕎麦猪口やなます鉢は使い勝手もよいので、積極的に食卓に登場させたいし、すべて古伊万里で揃えられた食卓の美しさはいいようがない。汁物の碗とワインのグラス以外は何とも言えない深みのある呉須の色で統一してみて欲しい。刺身や煮物と古伊万里の柄がこれほどまでに調和するものかと驚くだろう。
現在、古伊万里の価格は小康状態だが、若者にも日本趣味が抵抗なく受け入れられる時代になった今、少しくらい上昇しても何の不思議もない。いくら何でもバブル期のようなことにはならないと思うが、もし入手を迷っている方がいるのなら、絶対に少しでも速い方がよいと思う。
なぜなら、貴方が見たその骨董には、新品の供給がないので、見つけた時には即買いしないと、もう二度と巡り会えない可能性が高いからだ。
幸い今は特別ブームでもないので、新品の上等な食器を買うくらいで立派な古伊万里が手に入る。200年以上前の器がそんなに手軽に買えるのだ。
貴方も是非1つ蕎麦猪口のようなポピュラーなものでもよいので入手して欲しい。
きっと1つでは済まなくなるだろうし、自宅の食器棚があふれるようになるだろうけれど、古伊万里の魅力にはまってしまうことはきっと避けられないはずだ。
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